終電
昨日に続きもう一つファンの方のお話を。
8年前、baseよしもとという劇場を笑い飯、千鳥、麒麟の三組でトップを任されていた時の話。
(余談ですがうちのおばあちゃんはMー1で初めて笑い飯の西田さんを見た時
「なんやのあの汚らしい女の子は」と言っていました。
何度説明しても笑い飯さんを夫婦コンビだと思っていました)
劇場には連日若いお客さんが詰めかけ僕みたいなもんにも黄色い声援が飛び「麒麟です」をやればキャーキャーとおさまりがつきませんでした。
(現在「麒麟です」の後は皆さん「お、おぉぉ」という低い音を出して反応されます。マッチョな人が胸の筋肉をピクピク動かすのを見せてきてどう言ったらいいかわかないからとりあえず「お、おぉぉ」と言っておこうというあのリアクションと一緒です)
ファンレターもたくさんいただいてました。たまに粘土寿司も。
そしてこんな事がありました。
その日いつものように劇場でライブを終えて地下鉄の最終電車に乗って帰っていました。
当時僕が住んでいたのは大阪のビジネス街。なので終電になると降りるのは僕ぐらいです。
しかしその日は若い女性が降りてきました。
女性は僕が降りるのを確認してから降りてきたように思えました。
駅を出て家に向かいます。
その女性も同じ方向をついてきます。
不安になり僕は少し早足になりました。
するとその女性も早足でついてきます。
ゆっくり歩けばゆっくりついてきます。
振り返れば女性は下を向きます。
もう家についてしまう。住んでる場所がばれるのだけは避けたいと思い意を決して声をかけました。
「何か用ですか!?」
するとその女性は突然泣き出し
「すいませんすいません、こんな事するつもりじゃなかったんです。でも遠くから見に来たものでもう会えないかと思ってたら駅で見かけたのでついてきてしまいました。本当にすいません」
正直に話してくれました。なので僕も警戒心を解いて、応援してくれるのはすごくありがたいですがやはり家までついて来られると困りますと伝えました。
すると女性は
「そうですよね、失礼しました。では帰ります」と言って背中を向けました。
しかし終電ももう無いしかも遠くから来ていると言っていた。
僕は心配になり「どこいくんですか」と聞きました。
すると女性は背中を向けたままこう言いました。
「わかりません。とりあえず北に向かいます」
なんか格好いい。