あやまち

間違ってる事を正しいと思い込んでしまうことほど恐ろしい事はありません。
僕はつい最近まで『喪主』を『もぬし』と読んでいました。
『もぬし』

どこでそう覚えたのかはわかりません。『お葬式を仕切る人』→『葬式のMC』→『エムシー』→『モヌシー』という風に脳内展開していったのかも知れませんがとにかくずっと『もぬし』で通してきました。
『もしゅ』と読むのが正しいとわかったのはあろうことか漫才中の事でした。
『とにかく田村は幸が薄そうだ』みたいな漫才の流れの中で「田村が白いタキシード着てても喪主に見える」という僕のセリフがありました。
完璧な間をとらえて放った渾身のセリフ。
しかし思ってたより笑いがこない。
仕方ないかと思い次の流れに行こうとするが何か客席はざわついている。
そのとき田村から『もう我慢できない』と言わんばかりのニヤリとした表情で無情なツッコミが。
「もしゅやで!もぬしじゃなくてもしゅ!!」
「え?」
客席は爆笑。
そりゃそうです。
「もぬしって何?モヌシ?おぬし?と思ってたらもしゅの事を間違えて読んでたのね、オホホホホ」な心情でしょう。
爆笑の中心で恥ずかしすぎて動けなくなりました。
僕はずっと『もぬし』で生きてきました。
そう発音したのは初めてじゃないんです。きっと今までの人生で何度も言ってしまっている。その度に相手に「もぬし?」と思われてきていたと思うと恥ずかしすぎて漫才どころではありませんでした。
しかし恨むべきは田村です。
僕はネタ合わせの時からその部分を『もぬし』と発音している。ならば客前に出ていないその段階でとめれたはず。
彼だけがこの悲劇を未然に防ぐ『ストップ ザ もぬし』運動を起こせたのです。
それを本番まで泳がせておくとはなんと悪い男。
以前にも書いた通り田村は本当にピュアな性格をしているのですが僕が弱っているのを見ると好機とばかり狡猾な悪い人間性を発揮してきます。
(真っ白な心の持ち主だけど腹黒い性格も持ち合わせている、だから田村の肌はカフェオレみたいな色なんだ)
そんな田村は『銀河鉄道999』を
『ぎんがてつどうきゅうじゅうきゅうじゅうきゅう』
と読んでしまった事があります。
「きゅうひゃくきゅうじゅうきゅう」ならまだしも
「きゅうじゅうきゅうじゅうきゅう」
これは重症だと思います。

僕もこれを漫才本番までだまってましたけどね。
ケケケ。

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