CM

年に一度は何かしらのCMに出させていただいてます。
CMが決まったと伝えられると全身の血が逆流し心臓から打ち上げられた花火が脳内で盛大にドパーン!と爆発するほど嬉しいんですがそれをマネージャーに悟られるとなんか恥ずかしいので嬉しさを噛み殺しながら「あいよー」と無愛想に答えるのが芸人です。
以前舘ひろしさんと二人でCMをさせていただいた事がありました。

名作ドラマ『あぶない刑事』を見ていた人間としては舘ひろしさんといえばもう想像上の生き物です。

撮影当日。

早めにスタジオに入り楽屋前で僕が立っているとたくさんの人に囲まれた光の柱がこちらに向かってきました。
直視できない程まぶしすぎる光の柱。
目が慣れてきた頃によく見れば顔のようなものが浮かび上がってきました。
それが舘ひろしさんでした。
いつぞやの砂の固まりから顔に変化したハムナプトラ田村とはえらい違いでした。(同じ『ひろし』なのが失礼)

「は、はじめまして。今日共演させていただく吉本興業の麒麟の川島と申します」
光に照らされ消滅してしまいそうなところをグッとこらえて闇属性の僕が挨拶しました。
「やあ、はじめまして、舘です。よろしくお願いします」
溢れ出る大人の色気。
ダンディーの大洪水。
そのまま僕に握手をしてくれたのですが、まるで全身を握られてるかのようなオーラ。
(大猿化したベジータに握られてた悟空みたいな感じ)

そんな緊張している僕に舘さんは続けます。

「川島君は甘いもの好きかい?」

「は、はい!すいませんでした!」

オーラに圧倒されなぜか謝ってしまう僕。

「そうかい、じゃあ後で楽屋に差し入れ届けるよ」

本物のスターに出会い呆然としたまま楽屋に戻り、正座すること数分。

扉がノックされ急いで開けると舘さんのマネージャーさんが立っておられました。
「こちら、舘からでございます」
そういうと抱えきれないほどの箱を楽屋に置いていってくださいました。
箱を開けると中に入っていたのは

おはぎ

でした。

それはそれは美味しそうな今まで見たことのない凛としたおはぎ。

一箱に6個。

そしてそれが8箱。
つまり6個×8箱で
おはぎ48個。

OHG48

僕一人に対してこのおはぎの量。
なんともダイナミックな舘さん。
今まで食べた中でも一番美味しいおはぎでした。

でんごんばん CIDER inc.