ゴルゴ
先日
品川駅構内のコンビニでの話。
おにぎりとお茶を片手に新幹線の中で読む雑誌を探していました。
するとそこに60歳ぐらいのおじいさんがスーッと僕の隣にやってきました。
そして本棚からゴルゴ13の単行本を取り出してこう言いました。
「私はねぇ、ゴルゴ13が大好きなんですよ」
周りを見ても僕しかいません。
僕に言ってるのです。
そのままおじいさんはパラパラとゴルゴの単行本をめくりだしました。
「この話はねぇ、読んだような気がするんですよ」
引き込まれるような静かな口調
「知らんがな!」なんてとても言える空気じゃありません。
またおじいさんはパラパラとページをめくります。
「でもねぇ、この話は読んだ事ないような気がするんです。でもこれ、このシーンには見覚えがあるんですよ」
紙面を見ながら語り続けるおじいさん。
「いやぁ、これ、最新刊なんですかねぇ」
そういいながらおじいさんは顔を上げゴルゴから僕の顔に視線を変えました。
そしてゆっくりとこうつぶやきました。
「すいません。人違いでしたぁ」
なんと余裕のある人違い。
誰だと思ってゴルゴの話をプレゼンしてたのでしょう。
誰だったらこの人のゴルゴ愛を受け止めてくれたのでしょう。
結局おじいさんはゴルゴを買わず、水だけを買って去っていかれました。
しかしその後新幹線に乗り込むと偶然にも僕の前の席がそのおじいさんでした。
ゴルゴ好きのこのおじいさんの背後をとっていいものか。
座るとき少しドキドキしました。