変態

小学校1年生の時

家の前で幼なじみの女の子と二人で遊んでいました。

この女の子とは家も隣同士だったので自然と仲良くなり毎日一緒に遊んでいました。

二人とも絵が好きだったので地面に絵を描いてお互いの落書きを見比べて笑いあっていました。

その日も絵を描いて平和な時間を過ごしていました。
すると知らないおじさんが僕らに寄ってきました。

このおじさん誰だ?
そう思っていると女の子が「あ、こんにちわ」と言いました。

女の子の知り合いなのか。

僕も挨拶をしてまた再び絵を描きはじめました。

おじさんはじっと僕らの落書きを見ていました。

それからもしばらく夢中で絵を描いていたその時です。

「きゃあああああ!」

女の子が突然悲鳴をあげました。

何事かと思い恐れおののく女の子の視線の先をたどると

なんとおじさんが下半身裸になっているではありませんか。

まさかの変質者。

「おぉぉぉぉぉ!」

あまりの恐ろしさに腰をぬかし叫ぶ僕。
その二人の声に驚いたのかおじさんは全速力でダッシュして逃げていきました。
何が起こったか整理できず震えて立つこともできないので四つん這いで女の子のもとに駆け寄りました。
「だ、大丈夫?」
僕よりもパニックで震えて動けなくなってる女の子をどうにか安心させたかったのです。

しかし駆け寄った僕に女の子が放った言葉はとんでもない一言でした。

「川島君のお父さん、変態!」

え?

僕のお父さん?

なんか凄まじい勘違いをされている!

「違う違う!あれ僕のお父さんちゃうわ!」

「だって川島君に寄ってきたし川島君も挨拶したやんか!」
「○○ちゃんが挨拶したから僕は○○ちゃんの知り合いやと思ったんやんか!」
「違う!川島君のお父さん変態!」

そう叫びながら女の子は自分の家に走っていきました。

僕も走ってすぐさま家に帰りお母さんに今あった事、そして我が家の父がとんでもない冤罪をかぶせられようとしている事実を伝えようとしました。
しかし小学校1年生、しかも事件直後で頭が整理できていないままの報告。

「○○ちゃんとな、遊んでたらな、おじさんがパンツ脱いでな、お父さん変態」

「え!?うちのお父さんが!?」

結果また一人誤解させてしまいました。
後ほどきちんと事情は説明され父親の名誉は守られました。

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