また恥

今日も耳が赤くなる告白にお付き合いください。
半年前、家でパーティを計画しました。
念願の圧力鍋を手に入れた事にテンションが沸騰していた僕はとにかく料理がつくりたかったのです。
後輩6人ぐらいにお誘いメールを送りその返信を楽しみに一人スーパーへ。
後輩達の喜ぶ顔を思い浮かべながら2つのカゴを食材と酒でいっぱいにしてご機嫌な僕、メイン料理には圧力鍋の実力を遺憾なく発揮できるハワイアンスペアリブをつくることにしました。
家に帰り下ごしらえをしていると続々と後輩達からの返信メールが届きました。
しかし
「今日は大阪です」
「違う先輩に誘われてます」
「風邪です」
「バイトです」
「バタバタしてます」
立て続けに届いた5件のお断りメール。
その刹那。
冷蔵庫を開けると「俺達はいったいどうなるんだよ!」と進路を失った食材に訴えられてるようでした。
その時また一件のメールが。
「暇ですっ。腹ペコすっ」
涙で滲んでうまく読めませんでしたがそれはネゴシックスからのメールでした。
コイツのためにとびっきり美味いスペアリブをつくってやろう
そう心に刻んだ僕は腕にいっそうよりをかけて料理をしながらネゴを待ちました。
1時間後
ネゴがやってきた時にはすでにスペアリブやシーザーサラダや炊き込み御飯、そしてキンキンに冷えたビールが食卓に並べてありました。
「すげえっ!これ全部一人でつくったんすか!たまらんす!」
目を輝かせて料理を眺めるネゴの顔を僕は微笑みながら見守ってました。
その時ネゴが言いました。
「すごい量ですけど何人くるんですか?」
「あ、いや、ネゴ一人やで」
「え?僕だけ?…ですか?」
ネゴの笑顔に翳りが見えました。
それは明らかに「え…俺だけのためにこんなご馳走を…?え?なにこの人…」と言わんばかりの表情。
なぜか気まずい食卓。
盛り上げようと話題をふるもなぜか会話は続かない。
その時うちの犬が食卓の下で僕の足に当たりました。
うちの犬は僕がご飯を食べていると必ず足元にやってきて甘えます。
そんな犬を僕は足でさすりながらなだめるのが常でした。
その時もいつもと同じように足で犬を撫でていました。
しかしふとリビングの奥を見ると

犬が寝ています。

え?と思い食卓の下を見ると
さすっていたのはネゴの足でした。
急いで顔をあげるとネゴは真っ赤な顔でうつむいていました。

覚悟すな!

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