事故
昨日に続き恥ずかしい経験を告白します。
その日僕は新宿のルミネtheよしもとで漫才出番でした。
一回目の出番を終えた僕はスーツを脱ぎ捨て新宿の街に繰り出しました。
カフェでクロワッサンを頬張りラテで一息。
鼻歌混じりに店を出てお気に入りの雑貨屋さんへ。
お目当ては象さんのランチョンマット。
(お気づきだと思いますが僕の中身はただのOLです。現在はベランダでハーブを4種類育てています)
雑貨屋さんに入ってあれこれ物色。ランチョンマットを買いに来たのにかごの中では箸置きやマグカップが揺れています。
それでも物欲がとまらなくてカゴにはどんどん想定外の小物が追加されていきます。
店の奥の方でようやくお目当てのランチョンマットを探していたその時、ふと振り返ると後輩であるカナリアのボン溝黒が店に入ってくるのが見えました。
ボンは僕がいることに気づいていません。
小物で溢れている僕のカゴを見られるのは少々恥ずかしいので気づかれていないのは好都合。
僕も知らないふりをしてしばらく買い物を続けていました。
しかしランチョンマットの色違いを探すため体をかがめ中腰になったその瞬間、「パチーン!」という音とともに尻に衝撃が走りました。
完全にビンタです。
ボン溝黒め。
たまたま入った雑貨屋さんで先輩が度を超えた買い物してるの見つけたのでコッソリ近寄って挨拶代わりに尻ビンタを仕掛けやがった。
しかし芸人同士ならよくある事、そんな事はお前が店に入って来た時から想定内だ。
僕は仕返しと言わんばかりに過剰なリアクションで逆に驚かせてやろうと企みました(この間、尻ビンタをされた瞬間から実に1秒での思考)
尻に痛みの余韻が残る中、僕は手を広げて目を寄り目にし、「ワーオ!」と大声を出して全力で振り返りました。
全然知らない人でした。
今何が起こっているんだ?
呆然としていると同い年ぐらいの男性が唖然とした表情を浮かべ、震える声で僕にこう言いました。
「…す、すいません。ひ、人違いでした」
なんという事故でしょう。
彼は知り合いがいると思い冗談を交えた挨拶として尻を強く叩いた。
すると全く知らない人だった。
しかもあろうことか全力で「ワーオ!」と振り返ってきた。
さぞかし怖かったでしょう。
でも一番つらいのは僕なんだよ。
ルミネに戻るとボンが寝てました。
全然関係ないのに僕はボンの尻を思いっきりひっぱたきました。