言葉

嬉しかった言葉。
2004年のMー1グランプリでの話です。
当時baseよしもとでは笑い飯、千鳥、南海キャンディーズ、麒麟が凌ぎを削ってました。
年末が近づくにつれてこの4組の距離はギクシャクしてきます。
同じ出番の時はじっくり自分以外の3組のネタを見て作戦を練る。
全てはMー1の決勝の舞台に立つためです。
準決勝前日この4組で行く営業がありました。
会館にはたくさんの家族連れの方が詰めかけてのどかな空気。
しかし4組は人生を変えるかもしれない準決勝を明日に控えており、直前に客前でネタができる最後の機会。
全員目を血走らせながら尋常じゃないテンポで漫才を披露。
持ち時間一組10分なのに全組4分ジャストで舞台を降りました。
準決勝と決勝の持ち時間が4分だからです。
時間が24分も余ったため再び全員舞台に出て血走った目のままジャンケン大会をしました。
翌日の準決勝は仕上げたネタで4組とも爆発的なウケをとり、ひとまず楽屋で安堵の表情を浮かべてました。
その夜のうちに決勝に行く8組が決定し電話がかかってきます。
笑い飯、千鳥、南海キャンディーズはやはり決勝に行きました。

しかし僕らの携帯は鳴りませんでした。
悔しすぎて寝れない毎日。決勝にいけない事、あの3組と決勝で戦えない事が辛い。最後の望みは敗者復活戦しかありません。
決勝当日の昼間から有明の野外ステージで60組の芸人が寒さに震えながらまた凌ぎを削るのです。
そして夜、Mー1決勝戦生放送はスタート。敗者復活に出た全組は野外のジャンボビジョンでそれを見守ります。テレビの中では南海キャンディーズが爆発的なウケ方をしています。
そしていよいよ敗者復活戦を勝ち上がった一組の発表。
我々の名前が呼ばれました。
飛び上がって喜びました。
すぐに決勝が行われているテレビ朝日へ移動。
またみんなの元へ帰れるんだ。そう思いながら楽屋に到着。
決勝メンバーがこちらを見てニヤっと会釈。
そこで山里が駆け寄り言ってくれた言葉が
「おかえりなさい」
でした。
やばかったです。泣きそうになりました。
今でこそ顔面わいせつ物陳列罪な彼ですがあの時はハンサムに輝いてました。

翌年は我々が決勝に行って千鳥が敗者復活から上がってきました。
楽屋に入ってきたノブに僕がここぞとばかり「おかえりなさい」を言おうとしたら先に
「ただいまですわ~、兄さ~ん」
と言われ咳でごまかしました。

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