バイト

様々なバイトをしてきました。
最初にしたバイトは中学生の頃にした父の仕事の手伝い。
父は車の塗装業をしています。夏休みは朝から、また部活終わりに毎日車の塗装を手伝っていました。
そのため夏休みの宿題であった自由研究は皆が植物の成長記録なんかを提出する中、僕だけ「ベンツを塗りました」という宿題の域を超えた研究を提出してました。
18の頃にも養成所の入学金を貯めるためバイトしました。工場でリモコンの中の基盤のネジをひたすらしめるだけの仕事。
ベルトコンベアから絶えず流れてくる基盤をとり80%のしめ加減でネジをしめてはそれをまたベルトに流す8時間。
これが僕には合っていましたし退屈でもありませんでした。
当時ダウンタウン松本さんがやられていた「一人ごっつ」という番組があり、それを夜録画しておいて仕事前に見て大喜利のお題だけを覚えてネジをしめてる8時間はその答えをずっと考えてました。
そんな事もあってかパートのおばさん達が1日200個基盤をつくるのに対して僕は600個。
パートのおばさん達からつけられたあだ名は「ワンダーボーイ」
上司にも就職を懇願されました。
芸人になって最初のバイトはウェイターでした。
金が無い僕は『まかない』目当てで飲食業を選びました。
バイトが決まったのは小さなハンバーグ専門店。
ハンバーグが大好きな僕にとって最高のバイトでした。
しかしハンバーグ専門店です。
当然まかないもハンバーグしかない。
トッピングで目玉焼きやチーズ等があれども分母は必ずハンバーグです。
10時~16時まで働いていたのでまかないは朝昼出してもらえました。しかも僕が芸人で貧乏をしてると知ってる優しい店長は夜ご飯にと毎日お弁当までくれました。
もちろんハンバーグ弁当です。
1日3食ハンバーグ。
週5で働いていたので1週間にハンバーグ15食。
1ヶ月で60食。
すなわち年間720食。
2年働きましたんでその2年間で食べたハンバーグは1440個。
ネタ合わせをしていると相方から「お前全身からすごいハンバーグの匂いするで」と言われました。
僕はもう体臭がハンバーグになっていました。
ショックだった僕は銭湯に行き、サウナに30分入りフラフラになりながら全身の汗を出し切り更に体を30分かけてゴシゴシ洗いました。
「これで大丈夫だろう」
そう思い体を拭いたタオルからハンバーグの匂いがしました。
あの頃僕はハンバーグでした。

でんごんばん CIDER inc.