二人の神

つい先日
「競馬BEAT」という関西テレビの競馬中継にゲストとして出演した時の話です。
その日は僕の他にもゲストがお二人おられました。

一人は
間寛平師匠

いわずと知れた日本を代表する『喜劇人』
僕が幼少の頃からテレビの中で光り輝いていた天才芸人であり2011年の1月にはおよそ4万1000kmにおよぶ前人未到のアースマラソンを完走されいまだ人間離れしたそのパワーは衰える事を知りません。
常に挑戦することをやめず芸人として前に攻めていかれる姿勢は生ける笑いの神です。

そしてもう一人のゲストは

安藤勝己さん。

『アンカツ』の愛称で親しまれJRAだけでも通算成績1111勝(うちG1は22勝)を挙げられた競馬ファンの間では知らない人がいない天才騎手。

今年1月30日惜しまれつつも53歳で騎手を引退されましたが間違いなく近代競馬を支えた立役者です。

高校生の頃からオリジナル競馬新聞をつくり観戦歴を含むと競馬を愛して20年な僕からすればこちらもまさに神のような存在。

そんな二人の神の背後の位置でゲストとしてでるのは偶然にも両者の特徴に半分づつ影響を受けたような『馬面芸人』の僕。
学生の頃の自分が見れば発狂して倒れそうな程豪華な後ろ姿が並んでいました。
生放送直前

スタジオに出演者全員がスタンバイ。
すると寛平師匠が安藤さんに話しかけました。

寛「騎手、お疲れさんでしたなあ」
安「いやいや、ありがとうございます」
何気ない会話なのにこの二人が言うと深みが出る。

感動を胸に秘めながら興奮を抑える僕。
会話は続けられました。
寛「今は馬に乗ってないんですか?」
安「ええ、もう乗ってません」
寛「ほな何してますの?」
安「今は家で犬可愛がってます」
寛「へえ、間違えて犬に乗ってしまう事はありませんか?」
咄嗟に出た謎の質問にさすがに僕はツッコもうと思いましたが寛平師匠の顔を見ると
まさかの真顔。

真剣に気になって出た質問でした。

するとアンカツさんも笑う事無く諭すように静かに答えられました。

安「…乗りませんよ。…チワワやからね」

二人は至って真剣な表情。
たまらないのは僕。
その二人の絶妙な間と会話内容に爆笑がこみ上げてくるのですが我慢しなければ失礼。
僕だけ真っ赤な顔で生放送はスタートしました。
こんな大人になりたいです。

でんごんばん CIDER inc.