絡まれる。

東京と違って大阪の人々はとてもフレンドリーな方が多いです。
それ故に絡まれる事も多い街です。
以前僕が難波の街を歩いていると明らかに年下のパンクな格好をした男が話しかけてきました(顔はホッチキス似)
「あ、川島さんやないすか!俺っすよ、俺!」
強引に僕の手をとり握手しながら彼は言い寄ってきました。
しかし全く覚えがありません。
ロケでお世話になった人かもしれないし音楽番組で共演したミュージシャンかもしれない。
しかし様々な記憶の引き出しをばたばたひっくり返しても彼の情報が一切出てきません。
「すいません、失礼なんですがどちらさまでしょうか…?」
正直に打ち明けました。
すると彼は
「マジすか?!マジで俺覚えてへんの?えー」
と落胆した表情
しまった。これはかなりお世話になった方の反応。
失礼極まりない対応をしているのはわかっているのですが謝るほかありません。
「川島さん、そらないわー」
「本当にすいません。どちらでお会いしましたでしょうか?」
次の瞬間、彼は衝撃の一言を放ちました。
「いや俺一回川島さんにティッシュ配りましたやん」

覚えてるわけないやろ。覚えてた方が不気味やろ。
僕はすごいスピードでホッチキスに背を向け再び歩きだしたのでした。

深夜の難波の街でこわいお兄さん方に絡まれた事もありました。
仕事終わりに劇場近くを自転車で走っていると行く手を遮るように一台の車が幅寄せしてきました。
窓が開き運転手のこわいお兄さんがお目見え。
「おい、お前芸人やろ?調子乗ってんなあ」
僕が乗っていたのは自転車です。
姿勢良く自転車を漕いでいただけなのに飛びっきりの理不尽。
車のドアが開き怖くて黒いお兄さん方が4人降りてきました。
はい終わった。
しかし僕が恐怖のあまり真顔で固まっていたその時!
僕の横に中型バイクが急停止。
そのバイクに跨がっているフルフェイスの男が僕にヘルメットを投げ渡し「後ろに乗りな」と指で示してきました。
窮地に立たされていた僕はメットをかぶり咄嗟に男の後ろに跨がりました。
バイクは急発進。
その速さに車も追いつけません。
ヒーローはいるんだと僕が目をキラキラさせていると
「ここまでくれば大丈夫すね」と聞き慣れた声。
フルフェイスを外すと現れた顔は

ネゴシックスでした。

「大阪は恐い街なんです…。気をつけてください先輩」

いやお前島根の人間やないか。

でんごんばん CIDER inc.