鳥人間
22歳の夏、グァムで初めて開催される鳥人間コンテストにロケで参加しました。
自作の人力飛行機で飛距離を競う日本の鳥人間コンテストとは大きくルールが異なり、飛ぶのは既製のハングライダー。高さ20メートル程のスタート台から助走をつけて海に飛び出し、その飛距離を競うという単純なものでした。
会場には世界中のコメディアンが集まっており日本チームとして集められたのは小藪千豊さん、なかやまきんに君、そして麒麟の4人(何故この4人だったかはいまだに謎)
日本チームのトップバッターは僕。
緊張しながらスタート台に上がるとまだ前の組である韓国チームがロケをしていました。
韓国で有名なコメディアンであろう人物がビニール傘を持って「僕はこれで飛びまーす」的な事をカメラに向かって言っているのでしょう、韓国スタッフ達は大爆笑。
しかしそのコメディアンは助走をつけ傘を開き本当に海に飛び出して行ったのです。
さらなる大爆笑に包まれる韓国スタッフ。この根性には我々も拍手を送りました。
しかし
落ちた彼が全く浮かんできません。
騒然としはじめる韓国スタッフ達。
レスキュー隊がボートで救助に駆けつけると明らかに首の角度がおかしくなった彼がぐったりと海から上がってきました。
しかし意識ははっきりしている様子。
救急車のサイレンが鳴り響きビーチに流れる殺伐とした空気。
僕もその様子をただ茫然と見ていました。
そんな僕に現地スタッフが一言。
「じゃあ次、川島さん行きましょう」
行けるか。
行けるわけないやろ。
この「行きましょう」はもう脅し文句や。
しばらく拒否してましたが飛ばないと番組も無くなる、差し迫るロケの時間にも後押しされ僕はハングライダーで海に飛び出しました。
半泣きになりながらも無事着水。記録も27mと上々。
その後は田村、きんに君、小藪さんの順で順調に飛んでいきました。中でも小藪さんが40mとすごい飛距離を出したため、上位に入賞してるかもしれないと急遽我々は最後の表彰式に参加することになりました。
しかし小藪さんは18位。
そして僕がなぜか6位。
疑問に思い現地スタッフに聞くと「この大会はコメディアンの鳥人間コンテストなので『どれだけ面白い落ち方をしたか』で審査されるんです」と言われ納得。
優勝者が発表され、首に巨大ギブスをはめた韓国の彼が満面の笑顔でステージに登場してきた時会場はまた大爆笑に包まれました。