ケンカ

初めてのネタ合わせの第一声からセリフを噛んだ相方に不安を覚えながら僕らはそれから毎日公園でネタ合わせをしました。
二人の住んでる家の中間が淀屋橋駅だったのでまずそこに集合してから公園へ移動してネタ合わせをしていました。
田村は遅刻をよくしました。
約束の時間になってもまず来ません。

ある日集合時間から1時間経っても来ず連日の遅刻からも鬱憤がたまっていた僕は電話でキレました。
「お前今どこにおんねん!」
「ごめーん、今起きた。今から行くわ」
「もうええ!もう来んでええわ!」

怒りのあまり一方的に電話をきった僕。
しかしそこから田村の連絡がありません。
30分程待ちましたが我慢できず僕はまた電話しました。

「お前何してんねん!」
「え?ご飯食べてたで」
「いや、普通ああなったら電話かけ返すやん!」
「だって来んでええって言ったから」
「いやあの流れのそれは来いってことやん!」
「日本語難いなあ。ほな今から行ったらええか」
「いやもうええやん!もうほんまに来んでええわ!」
「それはどっちなん?お前が来るってこと?」

あまりにも会話が成りたたず笑ってしまいケンカは終わりました。
いつもそんな感じでどちらかが笑ってしまいケンカになりません。
元々好戦的な事を好まない草食系の二人(そういう意味でもキリン)なので今まで殆どケンカした事はありません。
しかし一度だけ田村が激昂した事がありました。

7年前のある日、ロケ収録のためスタッフさんの待つバスに集合しました。
僕が乗り込むと田村はバスですでに寝ていました。
お腹が減っていた僕はバスに置いてあったパンを朝食としていただきました。
しかしそれはスタッフが用意してくれたパンではなく田村が自分で買ってきたパンだったのです。
そうとは知らずペロリと平らげて僕も寝ました。

「アアアァァァッ!」
とんでもない怒号に起こされ驚いていると田村が僕の胸ぐらをグッとつかみながら絶叫しました。
「お前はパンを食べたやろぉ!」
バスに響き渡る絶叫。
パンはスタッフが用意してくれたんだと思っていた僕は何て過激なアンケートだと思いとまどっていると
「パン!食べた!買ったんや!俺はパン!お前!」
怒りのあまり一瞬パンになる田村。
結局田村はその日のロケで一回もツッコまないという復讐をしてきました。

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