アホ

本日も大好きな師匠のお話をさせていただきます。

坂田利夫師匠
通称『アホの坂田』
1961年に吉本の門を叩き、以来71歳になる現在でもふんどし一丁でアホを演じ大爆笑を起こす天才芸人です。
知らない人も多いでしょうが実は吉本で1番オシャレ。
舞台が終わると「アホ」と書かれた前掛けを脱ぎ捨て、ロックなシャツに袖を通しタイトなジーンズと先の尖ったポインテッドトゥの革靴を履き、ハンチングを深くかぶってたくさんの後輩達を引き連れてランチに出かけられます。
面倒見もよくて優しくて普段も本当に面白い憧れの師匠。
しかしプライベートが全く謎。
結婚も一度もされてない、しかしストリップはたまに観劇に行かれるので性欲はまだ健在。
いったいどんな生活を送られているのかどうしても知りたくなり、僕は番組の力を借りて坂田師匠の家に突撃ロケをさせていただきました。
大阪の閑静な街、そこにそびえ立つ綺麗なマンションに坂田師匠は住んでおられました。
中に入ると一人暮らしには持て余しそうな広い部屋、余計なものを一切置いていない非常にシンプルなつくりです。
てっきり高級な時計や宝石などをやらしく飾ってたり大きなワインセラーが置かれていたり小さい坂田師匠がたくさんウロウロしてたり色違いの坂田師匠があと4人いたりするのかなと想像してたのですがその期待は見事に裏切られてしまいました。
しかしこれはロケ。
何か坂田師匠の秘密を暴かなければならない。
そう思いトークをしながら目で部屋の中を物色していると高そうな鞄の中でキラリと光るものが!
「師匠!あの鞄に入ってるものはなんですか!」
そのまばゆいばかりの光からきっと宝石か高級時計だと確信した僕は強引に鞄を持ち出し中からそれを掴み取りました。
なんとそれは

メリケンサックでした。

鞄から…メリケンサック?

戸惑う僕の背後で師匠がボソッと言いました。
「こんな時代やからなぁ…、自分の身は自分で守らなあかんでぇ」
それはなんと自己防衛のための武器だったのです。
「か、カッコいいですね師匠!なんか格闘技やられてたことあるんですか!?」
「ん?無いで~。とりあえず鞄に入れとけば強なったような気するやろ?」

なんとメリケンサックをまさかのお守り扱い。

やはり尊敬すべき『アホ』でした。

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