健康

ありがたい事に僕は生まれてこの方大きな病気を患った事がありません。
入院もなければ骨折すら経験していません。
小学4年で初めて草野球した時、セカンドを守っている僕のところに鋭いゴロが転がってきたのをグローブをしてない方の右手でキャッチしてしまいその際人差し指がパンパンに腫れました。
一年間指を曲げる事ができなかったりにその部分は今も少しふっくらしたままになっていたりするのですがそれは「骨折」ではなく「チャームポイント」として受け止めさせていただいてます。
とにかく丈夫な体だと自負していました。
そんな僕を昨年の秋、悲劇が襲います。
疲れているのに夜寝てもすぐ目覚めてしまう。
頭の中にもやもやとした感覚が広がって目を閉じていると息苦しくなって寝付けない。
それは毎晩起こりました。
寝不足の日々。
ごまかしながら毎日を送っていると首から後頭部にピリピリと痛みを感じるようになりました。
そしてついに漫才中に呂律が回らない時があり、いよいよこれはと思いマネージャーに電話すぐに都内の脳外科を手配してもらいました。
今すぐに診察してもらえる事になったのですが僕は「もうお笑いが出来なくなる」という不安しかありませんでした。
そして病院。誰にも言えなかった症状を全て正直に医者に話しました。
CTスキャンをとり結果が出るまで待合室で昔の事を思いだしながらずっと下を向いていました。
そして僕は再び診療室に呼ばれ医者と二人きりの空間、重たい空気を裂くように医者が口を開きました。
「結果が出ました。川島さん、…落ち着いて聞いてくださいね」
諭すように医者は言います。
僕は頷くだけで精一杯でした。
そしてゆっくりと落ち着いた声で医者は続けました。
「川島さんね、ものすっごい肩こりです」

へ?

「いや肩こり。すっごい肩こり。長時間寝そべってゲームしてません?脳じゃない。脳全然なんともない」
「え?いや、あの寝てたらモヤモヤして、んで呂律がね…」
「うん、全部肩こりからくるやつ。そういう人いるの。肩こりの薬だしとくね。あと湿布も」
「いや、そんなわけないですって。脳のなんかしらですって!」
「いや見たもん。で異常無し」
「いやいや、僕脳やばいんですって!」
何度も食い下がったからでしょうか。
薬の袋には肩こり解消の錠剤と湿布とさらに精神安定剤が入ってました。
それ以来僕はぐっすり寝ることができています。

でんごんばん CIDER inc.