酒と先輩
昨日は僕が唯一経験した泥酔の話を書きました。
『以来僕は酒にのまれない大人になりました』と締めてはいますがもちろんその理由が『パタリロ騒動』からくるものだけではありません。
数々の酔いつぶれた先輩の姿を何度も目の当たりにしてきたからでもあります。
10年程前、劇場の芸人全員が参加するフェスがありその打ち上げは朝まで行われました。
そこで完全に酔いつぶれて動かなくなってしまったのがロザンの菅さん。
先輩を家まで送り届けるのも後輩の仕事、僕は意識を無くし肉の塊と化した菅さんの肩をかつぎながらタクシー乗り場まで運んでいました。
すると突然菅さんはバッと目を開き「離せぇぇ!離せよぉぉぉ!」と絶叫しながら暴れ僕の肩を振り払って倒れてしまいました。
そしてまた寝ようとする菅さん。起こそうとして触ると「離せぇぇ!」と暴れます。
放って帰るわけにもいかないと暴れる菅さんを無理やり立たせたその時、菅さんはこう言いました。
「もう触るなぁ!俺、ほんまはムカデやねんぞ!」
怖くて咄嗟に手を離してしまいました。
僕ムカデ嫌いやもん。
支えを無くしまた道に倒れるムカデ菅。
もう手がつけられないので置いて帰ろうかと思いその場を離れましたが少しして振り返ると菅さんは道でもぞもぞと動いていました。その姿にムカデというのもあながち嘘ではないなと感心し結局無理やりタクシーに乗せてそのムカデ兄さんを運んでもらったのでした。
華丸大吉の大吉さんの泥酔にも立ち会いました。
4年前はじめて二人だけで酒を交わした時の事です。
仕事の話や将来の話を熱く語り合うにつれどんどん焼酎の濃度とペースをあげられていく大吉先生。
しかし突然下を向き動かなくなりました。
「二匹目のムカデか?」僕がそう思いかけた瞬間大吉先生は突然目を見開きこう言いました。
「川島君はさぁ、僕の事さぁ、性欲ないと思とるやろぉ?」
性欲?性欲の有無?あまりにも予想だにできない大吉アンケートに僕がただただ戸惑っていると先生は声を荒げて続けました。
「僕だってね、僕だって性欲はあるよ!」
一方通行のカミングアウト、その衝撃に動けなくなった僕。
とどめとばかりに店内に響き渡る大声で先生はこう叫びました。
「しかも結構強いよ!!」
その迫力に圧倒された僕も大声で「はい!わかりましたぁ!!」と返事していました。
先生はこの事を覚えていません。
しかし性欲の強さについては否定しません。