仕事が終われば毎日お酒を飲みます。
昔はそんなに好きではありませんでしたがこの14年でなんやかんやありまして今では一人でも家で晩酌をするようになりました。右手で犬を撫でながら左手でウィスキーグラスを静かに傾けドキュメントを見ては号泣している毎日です。
(酔いがまわるとグラスを撫でながら犬を静かに傾けます)
めったに酔わないのですが一度だけ記憶を無くすほど泥酔しました。
7年前の事です。
ホストクラブに1日体験入店するというロケがあり僕はそこでホストとしておば様方を接客したのですが、そこでやたら飲まされてしまい気がつけばロケ中なのに完全に出来上がってしまいました。ウィスキーを水ではなく焼酎で割っている事に気づかないほどの酔いっぷりです。
そして朝を向かえロケが終わり「お疲れ様でした」と店を出た瞬間に視界がぐわんぐわんまわりだしました。緊張が解け酔いが加速してしまったのです。
やばいと思い気を持ち直し、とにかく喉が乾いてた事もあり自販機を探しながらいつもの帰り道を感覚だけで歩いてました。
次の瞬間、僕の目に飛び込んできたのは家の天井。そう、僕は無意識の中家に帰ってきていたのです。
激しすぎる頭痛に見まわれながら枯渇したのどに水を流しこみ窓を開ければもう夜。ロケが終わって実に14時間も経過していました。
驚くべきは自分の帰巣本能。
酩酊しながらもよく布団までたどり着いたもんだなと感心しながら部屋の明かりをつけました。
するとそこに現れた見覚えのない小さなダンボール4箱。
こんなものは家に無かった。よく見るとそれは『加湿器』でした。
しかも4台とも同じもの。
なんと僕は泥酔し意識を失いながらどこかで加湿器×4を手に入れ、さらに家に搬入していたのです。
しかしこれは本当に買ったのか?
知らぬ間に盗みをはたらいてしまっていないか?
不安になり財布を調べました。
するときっちり「加湿器4台」とかかれたドン・キホーテの領収書が出てきました。
きちんと購入していた証拠が出てきた事にホッとしながら宛名のところをみるとこう書かれていました。
『パタリロ様』

は?

パタリロ?

酔った僕は何を思ったかパタリロで領収書をもらっていました。
「領収書ください」
「宛名はいかがいたしましょうか」
「パタリロ様で」
という会話がなされたという事です。
想像すると恥ずかしすぎる。
以来僕は酒に飲まれない大人になりました。

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